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では、あらためて。 ●“いのち”のための研究 くどいようだが第一章ではあなたのお部屋の“空気“が“悪い”のは、新建材やOA機器、壁紙に使われる接着剤などから発生する有害物質の数々が原因であるとお話しした。 「ほらきた。どうせ観葉植物を置けばこんなに少なくなるってことだろう。」 そう。ウソではない。 私たちだって、実はそのことを説明して、簡単に“ホントの効果効用”として済ませたい。 しかし、ただ置くだけでよいというのでは、あまりにもあなたに失礼である。 このレポートを手にしてもらったからには、どこよりも、誰よりも、正確にわかりやすく知ってもらわなければならない。 何故そんなことを言うのか・・・。 実は、多くのパンフレットや読み物では、観葉植物自体が有害物質を恐ろしい程除去してくれるとしかとれない表現で、このことを説明している。いや営業しているといった方が正確であろう。 そもそも、観葉植物と室内の空気浄化との関係が再認識される発端となったのは、遠い空の彼方に向かう宇宙船の中のことであった。 1989年、NASA(米航空宇宙局)が発表したレポートの中で、鉢植え植物は、室内の汚染物質の除去にかなり重要な働きをすると言うことがはじめて報告された。 それまで地球上では、室内の空気汚染をどのように解決するかについて、その濃度を薄める“換気”という手段をいかに効率よく行なうかに労力を費やしてきた。 しかしお気づきの通り、宇宙船の中で“換気”が思うようにできるはずもない。 この難題にぶつかったNASAでは、それでもこの長旅が、乗組員たちに快適で、本来の目的を遂行するに足る良質の船内環境のもと実現できるよう、研究を続けた。 そして計らずも、彼ら乗組員たちの生命維持システムの開発途中、植物の持つ空気浄化効果に心をひかれていった。 そう“いのち”のための研究中にである。 良く考えてみてほしい。あなたの働くお部屋、そしてビルは、この宇宙船の中に、どこか似てはいないだろうか? こうして様々な分野での研究がはじめられるようになった。 しかし、実はこの植物と空気浄化の関係には、大きな盲点が潜んでいた。 最もわかりやすい例でご説明しよう。 お部屋の中の装飾やウェルカム、リラックス効果、ひいてはストレス“減”に結びつく植物であるならば、緑々しい観葉植物にこだわらず、お花の一輪挿しでもたくさん飾った方がよっぽど邪魔にならなくて喜ばれるんじゃないか。 前述の“いやし”効果だけを期待するのであれば、それも一概には否定できない。 しかし、残念ながら有害物質の除去という点においては、実のところ、ほとんど効果がないと言ってよいのだ。 大きさや量の問題であろうか。 いや、実は全く別の次元の話しである。 つまり、有害物質の除去となると、そこに土がないと何の働きも果たしてくれないのである。 そう、この土こそが、世間であまり耳にすることができない重要な役割を果たしている。 ●土の中の“パイオニア” 「なーんだ。じゃあ土を置いておけばいいのか。 わざわざ高いお金を払って大きな観葉植物を置かなくても、土ならホームセンターで安く購入できる。」 せっかちなあなたなら、こう言うかもしれない。 しかし、そう結論を急がないでほしい。 ただ土を置けば良いってものでは当然ない。 どうしても土だけというなら、少なくとも置く直前までそこに植物が植わっていたという事実がないと、その効果はあまり期待できない。 勘の良いあなたなら、あるいはお気づきかもしれない。 つまりだ。植物の葉は確かに前出の有害物質を吸収し、きれいな空気を吐いている。 しかし、実際はその根からより多くの有害物質を吸収しており、さらにこの根が増殖する土中の“有用微生物”こそが本当の有害物質除去の “パイオニア” なのである。 次のグラフを見てもらいたい。 |
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これは、代表的な室内有害物質ホルムアルデヒドの減少がわかるようにグラフにしたものであるが、土の中での働きがほとんどであることがわかる。(植物を除いた)土によって除去され残ったホルムアルデヒドから、(植物を除かない)土をおくことによって残ったホルムアルデヒドの差が、葉や根による吸収効果であると考えてよい。 では一体、土の中の“有用微生物”とは、どんな働きをしているのであろう。 実は、通常この有用微生物は“バクテリア”という名で総称されている。 恐らく、この名のもつイメージのために、余計なことを言ったら誤解されるという懸念が、これまで“観葉植物を置けばよい”と言う説明の仕方にさせてきてしまったのだろう。 しかし、同業他社の方にも聞いていただきたい。 バクテリアがいないと生物すべての生態系は成り立たない。加えて、映画やTVドラマの世界と同様、バクテリアにも善玉と悪玉がいるのだということ。 もちろん、土の中で、植物の根が懸命に増殖しているのは、好気性の有用バクテリア。要するに善玉である。 そして、驚くことに、汚染物質にさらされれば、さらされるほど、それに適応したバクテリアが増え、有害物質の除去率も飛躍的に増加するのである。 さらに、結果として、除去されたかのように見えるこの汚染物質は、実はバクテリアが生物分解し、再び植物が利用できる物質にまで変えてしまうのだ。 つまり、除去されたのではなく、 “リサイクル” されたのである。 そして、さらに驚くべきことに、同時に、室内のカビ、胞子や、悪玉のバクテリアまでも、その餌食としてしまう力を持つ。 ●誰も言わなかった観葉植物の効果効用 要するに、この有用バクテリアは、葉や根が吸収した有害物質をもエサにして、植物との“共生”を図っているということになる。 よって、土だけでも植物だけでも、本当の意味の浄化は成り立たないのである。 どうであろう・・・。“根の働きのある植物”を室内に置く効用効果について、その真の意義を、あなたはもうご理解いただけたであろうか? そう。大自然の中で何万年も、何億年も繰り返されてきた “食物連鎖”!! この “食物連鎖”をあなたの部屋に取り込むことこそが、空気浄化の本当の意味 なのである。 しかし、自然界で営まれてきたこの創大な生態系を、隔離された室内で精神面をも含む、効用に変えて行こうという試みは、まだまだはじまったばかりである。 その白羽の矢を人間からあてられた観葉植物たちは、今後どこまで、私達の期待に応えてくれるだろう。 そして、彼ら彼女らの気持ちに、私たち人間が、今後どれだけ応えることができるようになるのだろう。 こちらから“共生”を願いでた同じ生き物として・・・・。
「誰も言わなかった観葉植物のホントの効果効用」 このレポートを作成するにあたって、実のところいくつもの難題が私たちにはあった。 第一に、普段の勉強不足。 第二に、同業他社の方々のみならず、えらい学者の方々をも敵に回してしまいそうな暴言。 第三に、難しく書かれたことを、いかにわかりやすく読んでもらうかという工夫の難しさ。 第四に、日常業務以外の時間(就業後、休日)のやりくりで、家族をも敵に回してしまう!? やもしれない不安。 等々・・・ しかし、どれもこれも、このあとがきまで読んで下さったあなたがいたのであれば正直心から報われた気持ちになれる。 言葉足らずで、まだまだ、ご理解いただきづらい、そして物足りない未完成なものであるということは、重々承知している。 しかし、ただ植物が好きでこの世界に入った一介の植木屋だって、ここまでできるのだ!ということもまた、私たちの大きな自信につながったことは事実である。 ご機会あれば、是非今後、ご感想や率直なお叱りの言葉もお聞かせいただきたい。つたなきレポート、最後までお読みいただき、心からお礼申し上げる次第である。 『本当にありがとうございました。』 編集委員一同 2002.8 〒553‐0004 大阪市福島区玉川2丁目10‐12 株式会社 珍 樹 園 TEL (06)6446‐1187 FAX (06)6446‐0087 フリーダイヤル0120‐01‐8701 E-mail :info@chinjuen.co.jp U R L :http://www.chinjuen.co.jp 1)B.C.ウォルヴァートン著 株式会社主婦の友社出版「エコ・プラント」 1)社団法人 日本インドアグリーン協会発刊「室内環境を彩り飾る緑の力NO.2」 1)社団法人 日本インドアグリーン協会発行「園芸装飾必携第2章第1節第2項『室内環境や心身に対する植物の影響』(松尾英輔著)」 1)2.Justnet.ne.jp/~bmtt/mcb120j.htm 「微生物農法2」 1)murax.co.jp/cleanair/cleanair1.htm 「観葉植物の効用」 1)齊木崇人著「『東アジアの風水思想』と集落の立地選定−陸巷を支えるエコ・システム」 1)三宅晋司著「職場における観葉植物―そのイメージと効果−」 1)toppy.health.uoeh−u.ac.jp/myk/PERL.HTM「環境心理学研究室」 1)「発掘あるある大事典 第141回『休息』2.日本人の休息に欠かせない!イオンパワーを大検証!」 1)菅原明子著「マイナス・イオンの秘密」 1)能登春男・第5回日本臨床環境医学会研究発表 1)infosite.ne.jp/kankyo/allergy/sick.html/「あれるぎーのお話」 1)産経新聞 H14.5.22掲載記事「シックハウス症候群 診断基準を作成」 1)仁科弘重著「グリーンアメニティ〜植物による快適環境の創出」 1)大阪グリーンサービス協同組合刊 貸植木マニュアル
*発行 平成14年8月31日 *著作「誰も言わなかった観葉植物の効果効用」編集委員会 Copyright(C)2002 Chinjuen Co.,Ltd. All Rights Reserved
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